日本という国の美風のひとつとして、社会の均質性があげられる。そのメリットは単一民族国家と国民のほとんどが考えていることからくる心の平穏である。企業についてはどうだろうか。社員は同じような環境に育ち、同じような水準の教育を受けた人たち、彼らは卒業と同時に採用されてきた。さらにその人たちは同じ会社で一緒に人生のほとんどを過ごしてきた。最近では徐々にこの形態が変容しつつあるとは言え、まだこの傾向は潰えない。
同じような環境に置かれた者同士は居心地がいい。勿論、ライバルとしての競争はあるが、アメリカなどで見られる血肉を争うような熾烈な戦いはほとんどないと言ってよい。
これまでは日本のこの特殊性が経済発展と利点ともなっていた。
しかし、世界の経済活動に大きく変わってきた。世界が一体化してきたことだ。グローバル化と呼ばれている現象である。ここにきて、これまで日本の美徳とされてきた均質性、多様性のないことが逆に大きなハンディにさえなってきている。
GAFAなどで大きく世界をリードしているアメリカなどでは、これまで民族の離合、集散を当たり前のようにしてきて、多様性のある社会を実現してきた。多様性こそ、独創性を育む。それが大きな武器とさえなっている。
さて、日本と対極的な国がインドである。多様性の国だ。歴史を見ると、北からアーリア人の移住に始まり、アレクサンダー大王の侵攻、最近では宗主国としてのイギリスの影響を大きく受けてきた。例えば、紙幣を例にとると、金額が10種類以上の言語で記載されている。それだけ、いろいろの言葉が使われているということだ。(少数派を加えるとその数ははるかに多い)この言語の多様性が英語を公用語としたことの理由のひとつでもある。さらにこの国は平均年齢も低い。また、数学に代表される理系を中心に教育水準も高い。インド人の高い能力、特に海外で活躍しようとする希望を持った若者には大きな期待が寄せられる。
日本人の一様性とインド人の多様性、その若い力、この統合によって、雇用者と被雇用者(インド人)との間にウイン・ウインの関係が築けるのではないか。