新型コロナ感染症予防のワクチン接種が各国で始まっている。日本でも4月から高齢者への接種が始まる予定だ。ワクチン接種の最も進んでいるイスラエルでの最近の新規感染者や死亡者は以前に比べて激減しており効果が見込めるようだ。ヨーロッパを中心に各国間でワクチンの争奪戦も起っているようだが、ワクチン供給の救世主としてインドのある会社が注目されている。それはセラム・インスティチュート・オブ・インディアという名前の会社だ。最初は破傷風などの治療薬を製造していたが、最近では年間十数億人分のはしかや結核の治療薬を世界中に供給する大きな製薬メーカーに成長してきていた。
新型コロナ感染症ワクチンについても以前から関係の深いイギリスのアストラゼネカ社といち早く提携して、開発段階から実用化の成功を見越して生産設備を増強してきた。ワクチン適用の許可がおりるとすぐに生産を開始して、2月には7000万回分をインド国内とWHOを通じて12の発展途上国に供給した。4月には月産1億回分を生産する予定とのことだ。カナダ政府もこの会社から50万回分を購入の予定だという。インドやアメリカで開発されたワクチンも生産する予定である。今後、世界のワクチン供給量の40%から50%を生産したいとのことである。資金に恵まれていない発展途上国向けに1回分が3~5ドルの安価なものを提供していくことも目指している。日本政府も発展途上国向けのワクチン提供のためにインド政府を通じてこの会社に資金を拠出するようだ。日本国内でもインド製のワクチンを打つようになるかもしれない。