インドの宗教と言えば、ヒンズー教が頭に浮かぶ。確かにインド国民の約8割はヒンズー教徒である。しかし、ヒンズー教については日本ではあまり知られてない。ヒンズー教とは一体どんな宗教であろうか。
ヒンズー教は、キリスト教、イスラム教や仏教と違って創始者がいない、いわば、自然に出来上がったものである。
インドに中央アジアから移ってきたアーリア民族が始めたバラモン教に端を発し、その考えが基礎になっている。バラモン教自体、古代ヒンズー教とも呼ばれている。バラモン教は天・地・太陽・風・火などの自然神を崇拝するものである。
八百万の神がいるとする日本古来の宗教に近い。人間がこの世で行った行為の良し悪しが原因となって、次の世の生まれ変わりの運命が決まるという考えだ。この世で行いが悪いと次の世に生まれ変わったときに悲惨な状態になるかもしれない。それが人間の生活を規制することにもなる。これはそのままヒンズー教にも受け継がれている。菜食主義など戒律の厳しいのもこの教義によるものであろうか。
現在のヒンズー教にもいろいろな神様がおり、信者はどの神様を崇拝してもよい。有名なのは、世界を作る「ブラフマー神」、世界を保つ「ヴィシュヌ神」、世界を破壊する「シヴァ神」の3つの神様である。「シヴァ神」は、創造と幸福をもたらす神でもある。
日本の大黒様、不動明王、千手観音などは「シヴァ神」に由来すると言われている。それは仏教にヒンズー教が取り入れられたからである。ヒンズー教は日本と無縁の宗教ではないのである。