インド 結婚事情

インドでは娘の結婚相手は父親が決めることがこれまでほぼ慣例になっていた。低い年齢で一方的に結婚を決められ、その時点で学校も辞めさせられて料理や家事を覚えるために家にこもる生活を送るというパターンも多かった。
しかし、近年、大都市を中心にこのような慣習が薄れつつあるようだ。

ムンバイの近郊都市でのこと、絵に描いたような湖の周りを囲む歩道にはジョギングやサイクリングを楽しむ人が見られるが、多いのは寄り添って歩く若いカップルだ。デーリーなどの大都市にも同様な光景が見られる。公園など野外に二人だけの場所を見つけている。しかし、まだまだ自由恋愛には否定的な傾向が強く、バレンタインデーを祝っているカップルが脅迫された例もある。最近、ハイデラバードのある公園で「結婚してないカップルの立ち入りを禁止する」という注意書きが出されたことがあった。これはさすがに抗議が多く引っ込められたそうだが。
家が狭いこと、また親と同居しているケースが多く、互いの家にはふたりでくつろぐ場所がない。ホテルの料金は高いし、結婚前のカップルに部屋を提供することに難色を示すオーナーも多い。それに対して、アジア諸国のどこにでもあるような、数時間のショートステイで部屋を貸す、所謂、ラブ・ホテルを紹介するサイトがいくつか出てきている。

なかには千軒以上のホテルと提携して、要望に応じて部屋を紹介してくれるものもある。ホテルによっては「お客様、第一」を掲げて、ベッドの上に花びらを撒いたり、チョコレートやコンドームを無料提供するサービスをしている所もあるとの事。ある経営者は「単なるホテルの営業だけでなく、若者の恋愛結婚を支援するのだ」と胸を張っている。

児玉 博嗣

インドをはじめ、世界各地の火力発電所の発電設備の保守管理を技術面から サポートする仕事を30年以上、発電所の人たちと一緒に手がけてきた。 趣味は歴史書の読書、エッセイーや掌編小説の執筆、町の散策と多岐にわたる。 幅広い国際経験を生かし、インド・日本の双方のウィン・ウィンの関係の構築 に貢献したい。

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